呉線電車化用転属車調べ

 呉線は、1970年(昭和45年)10月1日電化開業し、線内の普通列車は、それまでのC59やC62形等の大型蒸機が牽く客車列車から一部通勤列車を除き、73形や80形の電車列車に転換した。
 電車化に必要な車両として、103系30両と113系が10両新製され、103系は松戸区に、113系は大船区に配置された。松戸区からは73形28両、青梅区から2両の計30両が広島運転所に転属した。一方113系は地下用1000番台が新製され、捻出のスカ色一般型10両を静岡運転所に転属し、東海道線で使用中の80形と置き換え、捻出の80形を岡山区と広島運転所に配属。当時の趣味誌の車両の動き欄から推定出来る転入両数は岡山区モハ80−2両クハ86−4両、広島所モハ・クハ各1両の計8両でした。
 

1.予算
  69年度第4次債務負担計画により、呉線電化開業用として113系10両、103系30両が計画された。これは快速用に80形を、ローカル用として73形を捻出使用するための新製計画である。ここでは主に103系−73形の転配について記す。 

2.新製車両
  103系30両の内訳は、MM’×9(M270−M’425〜M278−M’433) T×12(294〜305)
 この30両の他に、同一予算で冷房試作車が10両新製され、山手線に投入、一般型の103系10両を捻出し常磐線に転用、捻出の旧形10両を嬬恋線−3両、呉線荷電増備−2両、事業用改造種車−5両に充てる事としたが、松戸区では、新製の中間車30両と10両編成1本計40両の配置を受け、68年の初配置以来変らなかった103系の編成を一部変更して対応した。

    69年7月以前       McM’Tc’・McM’TTMM’Tc’ × 11

    69年7月新製・転属   MM’×9  T×12
                    TcMM’TMM’TMM’Tc × 1

    組替後            McM’Tc・TcMM’TMM’Tc’   × 1
                    McM’TMM’TTMM’Tc’     × 7
                    McM’Tc’・McM’TTMM’Tc’  × 7

    所要数            McM’×22 MM’×23 T×36 Tc×2 Tc’×22                   

3.呉線投入計画
  クモハ73−14両(奇10、偶4)、モハ72−6両、サハ78−4両、クハ79−6両(偶のみ)の計30両で、
    
    クモハ73+サハ78+クモハ73 × 4   クモハ73+モハ72+クハ79 × 6

  のような3両編成10本を組む事としたと思われる。(電車化直後のリポートに3両編成と4両編成があり、
  3・4・7の組合せで使われているとの情報もあったが、車両数から推定すると4両編成は組みにくく、所要運用
  本数からも3×10が妥当と思われる)

4.実際の投入車両
  (1) クモハ73 14両

車号 転属元 転属年月日 転属元 転属年月日 転属元 転属年月日
73009 松戸 70.7.30
73041 70.8.1
73051 70.7.22 津田沼 69.4.5 松戸 69.1.10
73053 70.7.22
73057 70.7.30
73061 70.8.1
73090 70.8.1 中原 70.6.19
73091 70.8.1
73094 70.8.1 中原 70.7.6
73128 70.8.1 中原 70.7.6
73148 70.8.1 中原 70.6.19
73169 70.8.1 津田沼 67.11.16
73225 70.6.26 仙石線 69.9.7
73313 70.6.26 仙石線 69.9.22

   上記14両の内、仙石線陸前原ノ町区から来ていた73225と313は、既にATS−Sを装備していたが、他の
  12両についてはS形の取付工事を実施している。なお当初の計画では73091の代りに187号車が予定され
  ていたようである。(当初169号車としましたが、ご指摘をいただきまして調査の結果、187号車の間違いでし
  た。お詫びして訂正致します)

  (2) モハ72 7両

車号 転属元 転属年月日 転属元 転属年月日
72025 松戸 70.7.22
72056 70.7.22 下十条 68.9.26
72065 70.7.22
72066 70.7.22
72070 70.7.30 津田沼 67.11.16
72071 70.7.30

  (3) サハ78 4両

車号 転属元 転属年月日 転属元 転属年月日
78111 松戸 70.7.22
78113 70.7.30
78119 70.7.22
78120 70.7.30 明石 69.9.6

  (4) クハ79 6両

車号 転属元 転属年月日 転属元 転属年月日 転属元 転属年月日 備考
79004 青梅 70.6.26 中原 不明 高槻 69.12.26 中原→青梅は69年度中
79108 70.6.26 不明 70.1.27 中原→青梅は69年度中
79214 松戸 70.7.22 仙石線 69.9.22
79218 70.7.22 69.9.7
79308 70.7.30 青梅 70.7.9 明石 70.2.3
79312 70.8.1 70.7.9 70.2.3

    こちらも先頭車であるからATS−S工事が必要なはずであるが、計画には入っていない。6両とも大鉄局や仙
   石線からの転属車であり、S・AなりS形は装備済みだったからであろう。逆に東鉄ではB形を持ってないために
   先頭には出られず、中間に封じ込めとなる不本意な使い方をされていたのではないだろうか?

  (5) 荷電
    モハ72270(マト)→クモニ83020(カキ)70.9.18鷹取工改造
    モハ72277(マト)→クモニ83021(カキ)70.9.14幡生工改造

    この2両の大垣区配置により、クモユニ74105・74107の2両を捻出、広島運転所に転属し呉線用に充当し
    た。

5.70年度末3両(McMTc)転属
  この転属についての車両計画は不明である。

車号 転属元 転属年月日
73283 下十条 71.3.25
72684 浦和 71.3.25
79482 浦和 71.3.25

6.嬬恋線関連
  長野原〜大前間は当初嬬恋線として計画されていた。この開業用に73形3両を捻出し、東神奈川区にクモハ73
 −2 クハ79−1を転属、同区から
    クモハ60010・60020・クハ55322
 の3両が新前橋区に転じた。

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